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    まちづくりへのプロセス その4

    まちづくりはなるべく多くの人を巻き込んで

    人の数だけいろいろな楽しみが生まれ、そして可能性が広がります

    社会活動団体などが主催する集会やイベントで参加人数を制限することがありますが、それは施設やスタッフの対応範囲からしてやむを得ないこともあるので一概に否定はできません。ただ、参加枠から漏れた人に対し、それなりの配慮ができたかどうかで、その差にはとてつもなく大きなものがあります。

    ひとつの例ですが、参加できなかった人を次回優先枠に入れることや、活動報告をしっかり行うなど、簡単にできることを当たり前にやるか、些細な事として見逃すか、その蓄積がまちづくりの結果に大きく影響してくるでしょう。

    一人ひとりの想いをしっかり受け止めるために是非必要なもの。それがコミュニケーションの原点となるキーワードの設定です。これが結果的に「人づくり」にもつながります。

     
     

    キーワードについて考える その1「食」

    私たちにとって命の源となる食事、その更なる大きな意義とは

    私たちは皆、一日三回の食事と休憩時のお茶など多くの食べ物や飲み物をいただきます。その機会ごとにほとんどの人は、複数の人とともに楽しく語らいながら口にしています。

    その回数は一生のうちにおよそ10万回にはなるでしょう。そして、その一回ごとの食をどのような気持ちで摂っているかが、その人の「人としての資質」の形にまで影響を及ぼします。
    食に関する領域は果てしないほど奥が深く、その意味でも話題は尽きません。そのことから、まちづくりの原点となる「ひとづくり」のキーワードの一番目として、食のもつ力を多角的に探ってみたいと思います。
    「食」のあとに付く動詞に「欲」があり、これは人間本来に備わった必然の求めである権利的「欲求」に裏付けされ、それにより自らの身体の成長と維持をつかさどっていく最重要な本能の一番目に位置づけされます。
    それでは二番目はというと、それは種の保存ならぬ子孫繁栄のための本能である「性」であり、三番目に全ての欲を満たすに必要不可欠な「金」であるといえます。
    『ブッダの七つの欲求』は、「生存欲(生きたいという欲)」「睡眠欲(眠りたいという欲)」「食欲(食べたいという欲)」「性欲(交わりたいという欲)」「怠惰欲(楽をしたいという欲)」「感楽欲(感覚の快楽を味わいたいという欲)」「承認欲(認められたいという欲)」があります。
    この他、欲の部類に属する?生に絶対に必要な行為となる「排泄」。これも・・したい。という気持ちになる(求める)ことからは欲に準ずるかもですが、私としてはこの反応は自立神経的はたらきからの身体欲求になるため、一般的な「欲」とは区別して捉えるべきと考えます。  関連リンク
     欲のなかで日常的な話題として人々の最も興味があるのが「食」の分野で、これには、食料生産(確保)から調理(加工・製造)、商品及びレシピの開発、飲食店など数多くのジャンルが存在することから話題には事欠きません。
     


     
    私たちの身体の糧となる食ですが、それに関わるジャンルは無数あり、それは、農産物、畜産物、海産物、林産物などの食材生産収獲から、食品加工、調味料、香辛料の製造分野、菓子や飲料などの嗜好品、その他限りがありません。
     
    そして、生産、収獲、加工、調理など食関連の仕事に関わる人々はおそらく国民の20%以上にはなると思われ、これに毎日家庭で料理をつくるお母さんを含むとなると、全く調理をしないかできない高齢者、お父さん、子供の一部を除き、ほとんどの人が大きな関わりを持っていることになります。
     
    食をキーワードとしてまちづくりに臨むとき、まず家族の食を担う「お母さん」が毎日のレシピを考えるところへ想いを馳せる必要があります。活動仲間に数名の女性(母親を含む)がいると、この問題はスムーズに回答できます。


    考え方の手順として、事前に献立の食材、調味料、調理法と頭に浮かべ、冷蔵庫内を確認して、在庫食材だけでできるか、購入が必要かを自問自答(思い描き)しながら、今日明日の大まかなメニューを決めます。このメニューの詳細については常に変化することを想定しながら調理に取り掛かります。
    調理するとき、一人だけで全て行うか、子どもが手伝うか、旦那が協力するか。それによってメニューが変わることも多くあります。
    食事を摂るとき、食卓に誰が一緒にいるか。それら一連の流れによって話題の内容も違ってくるでしょう。そして料理を美味しいと言って喜んで食べてくれることで、より深い内容の話へと進みます。
     
    私たちの生活のなかで、最も家族を意識し、そして楽しい時間が食事のときと言えます。
    また、外食するとき、友達と誘い合って食べに行くとき、旅行などでグルメを求めて歩くときなど等、食に関しての話題は尽きません。
     
    つまり要約すると、コミュニケーションの入口として、例えばどこかで集まって話し合う場合、そこに数人の新たなメンバーがいれば、必ず食べ物や飲み物を用意し、しかもそのメニューからなるべく多くの話題へとつながるように、食材選びの時点から出席者に配慮する気持ちを持てれば万全といえます。

     
    その際の食材としては値段の高いものや手に入れるのが困難なものは避け、例えば、自家菜園や道端の野草、地元で生産加工されたもの、季節の山野草など、自分が住んでいる地域に関連の深いものが良いでしょう。そしてその中に、ハーブやエディブルフラワー(食用花)を加えるのも良いと思います。
     
    そして、食において最も重要なポイントをしっかり見極めることも忘れてなりません。まず、食は日常摂るもの、美味しいもの、楽しいもの、身体づくりに欠かせないもの、そして安全でなければならないとの必須要件をしっかり踏まえて話を進めることです。そのことで、より話題が広がります。

     
    このなかの安全については二通りあり、食材が安全であることと、調理方法が安全であることです。特に後者の方で食中毒が発生してしまったら元も子もなく、これについては幾通りもの安全チェックを励行することが絶対条件になります。
     
    とにかく、食について、ここではすべてを網羅することは不可能ですから、いろいろな分野については、ネットで検索するなどして、知識や調理技術、応用力などのスキルを高めておくと良いでしょう。

    まちづくりのなかでキーワードに沿って地域のなかに食の拠点を設けることに関する内容は、このサイトのプロジェクトナビゲーションに掲載していますので是非ご覧ください。

     
    今回の食をキーワードとする記述はこれぐらいで終えますが、最後に食べ物をいつでも摂れるものとして簡単に考えている私たちにとって、諸外国においては8億4千万人の人が食べ物に困っていることと、わが国では一年間で500~800万トン(10トン車で50万台以上)の食べ物がゴミとして捨てられていることをしっかり捉える必要があることを結びとします。
     
    次回のキーワードは 花 になります。